僕の断食体験vol.1~初日~

2016年2月1日

マクロビオティック

僕の断食体験vol.1~初日~

奈良県のとある断食道場へ

目の前の事務室らしき場所の扉の前。インターホンは探してみても見当たらず、立ち尽くす。

「ごめん下さーい。」「・・・・・。」

「ごめん下さーーーい!!!」「・・・・・。」

少し間をおいてドアの曇りガラス越しに人影が見え、ガラガラ・・、ガラと引き戸が開き、腰が曲がった老人が出向かえてくれました。

とても健康そうには見えないその様子にこの先の不安は募る一方でしたが、言われるままに、氏名と住所を記入し、料金を支払い、買い食い防止の為に財布を預かられました。
体調を尋ねられ、答えると、明日から早速本断食をすることに。さっそく寝起きする部屋まで案内されました。他の部屋は全て空室かと思われていましたが、一部屋だけやけに生活感を醸し出している部屋があり、聞くと断食目的ではなく世話係の男性という事でした。

これから一緒に頑張る仲間がいたという一筋の希望も一瞬にして消え去ります。

私の案内された部屋は、数ある部屋の中で奥から2番目の部屋。何故・・?と思いましたが、すでに聞く勇気はありませんでしたので、お礼を言い、早速ラフな格好に着替えました。

時間は午後4時、はじめの食事

着替えたら広間に来るように言われたので、冷え切った長い縁側を通り、指示された部屋に入ってみると、右手に大きな仏壇、正面にこの道場主らしき肖像画、壁一面に墨で手書きされた数々の格言が張られており、独特の雰囲気を醸し出していました。

20畳ほどの畳の部屋の真ん中にちょこんと机があり、その上に食事が用意されていました。
3台の石油ヒーターですでに室温は温かく保たれており、先程の老人の姿はなく、代わりに40代くらいの女性が料理の説明をしてくれました。
私一人の為に少し申し訳ない気持ちにもなりましたが、私も仕事で来ている身。お互いプロとしてベストを尽くしましょう!と、全てを受け入れる覚悟を決めました。

説明が終わると女性は部屋からそそくさと立ち去り、再びヒーターの燃える音のみが響き渡る広間に一人っきり。まだ時間的に空腹感は覚えていませんでしたが、どんな味なのかに好奇心が湧きます。

食事は、小さなお茶碗に半分くらいの玄米、味噌汁、お浸し、梅醤番茶。まさに正食と言える内容で、気持ちも引き締まり、期待も膨らみます。
テーブルの隅に置かれた錠剤の下剤が、その場に似つかわしくなく違和感を際立たせていました。
※通常断食開始には腸の中をなるべく空にしておくことで、その後の宿便を排泄を促進する目的で下剤を服用します。

噛むことに疲れたが気分は昂揚

箸を手にとり、ふと顔を上げると正面の壁の以下のような格言が自然に目に留まりました。

<噛む回数とその効果>
30回 :歯茎が強くなり精神的なイライラやそわそわがなくなってくる。普段の食生活でも最低でもこの回数は咀嚼しておく様にすること

50回 :不平不満が解消され、少しくらいの嫌な事なら食事の時だけで忘れられる様になる。その他水分も余り必要としなくなるから体が軽くなってくる。

60回:繊維の多いものや消化の悪いものでも充分噛み砕かれ便秘しなくなる。その他頭の働きが冴えてきて思慮深くなる。

80回 :勘が鋭くなり食物の自然の味覚がハッキリ味わえ合成着色料や人工甘味料等が判別できる様になる 。その他学ぶ姿勢が自ずとでき向上心が高まる。

100回 :この回数を続けると心が落ち着き冷静に物事を判断する力が養われ少食ですみ、睡眠時間も短くなる。また肉類、香辛料が欲しくなくなる。

150回 :この回数を続けていると胃腸の働きもすこぶるよくなりその他慢性持病も自然治癒されてくる。それと同時に心のコントロールが容易になる。

200回 :毎食この回数をこなすと頑固な胃弱や胃潰瘍等に覿面の効果をもたらす。また先見力、洞察力が養われ疲れ知らずで少食、少眠、多学、多動が可能になる。

これを読んだからには、200回噛むしかないですね。

玄米を一口。もぐもぐもぐもぐ・・・。200まで数えながら噛みます。スピードを上げても思った以上に時間がかかります。途中で箸を置きました。

100回を越える頃から、口の中でどろどろになり、もはや玄米の原型はなく、唾液で口の中が一杯になります。最後は、食べると言うより、飲む感じです。これだけ噛むと玄米の栄養がしっかり体に吸収されるのもわかります。

これを一口一口200回ずつ繰り返し、時には反射的に飲みこみそうになりつつ、目の前の格言を心の支えに最後までやりきました。

普段なら5分もあれば完食できる量を、30分以上かけて食べました。流石に顎も疲れます。
そして、この食べ方、決して美味しくはないです。というより味わうよりも噛むことに集中し過ぎて味は覚えていません。

しかし、人生で初めての食べ疲れによる疲労感に、やりきった達成感の方が大きく、明日からの本断食に向け気分が高揚している自分に気がつきます。

寝付けぬ夜

食事が終わり、先ほどの女性を呼びにいくと、明日からの日課表を受け取りました。

<日課>
7:00 起床
7:30 静座(一日おき)
8:20 清掃
8:40 お茶(梅醤番茶)
9:00 散歩
10:00 朝食(味噌汁)
10:30 体操(一日おき)
13:30 講演
16:00 夕食
16:30 入浴(一日おき)
21:00 就寝

明日の朝までは自由時間ということでしたので、部屋に戻り、念の為持参していた6冊の本を開き、夜が来るまで待つことに。

入浴に関しては、毎日入れるように配慮をしていただきましたが、極寒の浴場に、最低限のお湯(しかも熱湯。)に、寒いやら熱いやらで、一人人気のない施設で飛び跳ねていました。

普段便秘気味の私ですが、下剤は飲んだ経験はなかったので、翌朝のお通じを楽しみにして、初日は床につきました。

目を閉じてから、まだ道場主にお会いしていない事に気がつき、いや、すでに会っているのか?もしかして、あの老人?それともあの女性?
忘れていた不安感が蘇り、なかなか寝付けないまま初日を終了。

 

<次に続く:僕の断食体験vol.2~目覚めの良い朝~

 

※関連記事

僕の断食体験~プロローグ~

僕の断食体験vol.3~陽性の飲み物「梅醤番茶」~

僕の断食体験vol.4~環境による心への影響~

僕の断食体験vol.5~初めての体験~

僕の断食体験vol.6~持続する集中力~

僕の断食体験vol.7~冷たい水は飲み込めない~

僕の断食体験vol.8~ちくわの誘惑~

僕の断食体験vol.9~3日目の脱力感~

僕の断食体験vol.10~心と身体はどちらが強い?~

僕の断食体験vol.11~ついに脾気虚・肺気虚になる~

僕の断食体験vol.12~癌(ガン)と正食~

僕の断食体験vol.13~力みなぎってきた5日目~

僕の断食体験vol.14~命とは、生とは、死とは~


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執筆者 伏見 浩幸
漢方薬の持つ力の素晴らしさとともに、人間の持っている力もすごいなぁと日々感じています。漢方薬だけではなく、私たち自身も相談員としてお客様の「薬」なることはもちろん、今、色々なご病気で悩まれている方々も、授かった命と一緒に当然備わっている自分自身の自然治癒力に自信を持ち、自分自身が「薬」になるお手伝いができればと考えています。そんな願いを込めて一話一話を綴らせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。
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