僕の断食体験vol.9~3日目の脱力感~

2016年11月21日

マクロビオティック

僕の断食体験vol.9~3日目の脱力感~

ちくわに翻弄される

通り過ぎようとするが、必然的に焼きちくわとの距離は縮まります。

ついに手に届く距離にまで近づく…。足が止まりそうになりながら…。手は伸ばさない…。

しかし、自分の霊体(!?)は、既に焼きちくわを手に取っているかのような感覚に。

食べなければ近づいても、問題はない…。見るのは大丈夫…。

でも、立ち止まって店主と目が合えば、買わざるを得ないのでは?!いや、もし買っても食べなければ問題はない。はず…。えっ?!買う?!何の為に?!

フルマラソンを走った経験もある。体力には自信はある。往復20キロなんて大した事は無い。帰りはバスではなくても帰れるはず…。

急に湧き出る食欲のせいで、色々な自分がワッと出てきます。

一口でも食べてしまえば、一体九州から奈良へ何をしに来たのか。これは一生の恥になる。という思いが生じ、やっとのことで我に返ります。

ちょっとくらい良いいだろう…。
この積み重ねの怖さを感じます。こういうプロセスで人は間違いを犯していくのかもしれません。

法隆寺に向かうにはとにかく前進するしかありません。視線は食べ物に引っ張られ、半分正気を失いながらも、足だけは前進。前進。意識は足に…。20メートル程で難関は通り過ぎ、再び澄んだ空気に包まれ、やっと正気を取り戻しました。

まさか、お土産屋にこんなに翻弄されるとは…。これから先が思いやられます。

本当の価値

道場では、与えられた食事を、これだけしか無いと思えば、有難く「いただきます」という感謝の念が生じます。

しかし、自分自身で買うことも買わないこともできる状況では、我欲が出てきて感謝の気持ちすらなくなります。

改めて、お金というものが、様々なモノの、本当の価値を見えなくさせているようにも感じます。

考えてみれば、お金は自分のものという認識では、支払って手に入るものに感謝の念は生まれません。
お金も元をたどれば、与えられた命と身体を使い、誰かに喜んでいただけた結果が形を変えた非常に有難いもの。
完全に自分のものという訳でもありません。

そう考えるとお金を自分の我欲の為だけに使うのは忍びなく、買ったものもやはり大切に使わせていただくという心の姿勢も大切なのだと気付かされます。

断食3日目の脱力感

さて、ひとしきり反省を終え、山を下ります。山を下ると言っても、車道です。割と急な坂道と久々のアスファルトということもあり、思った以上に足に負担を感じます。

そういえば、全身的に力が入りにくい感じもあります。断食3日目という事で、食べていないことも脱力感に影響しているのかもしれません。改めて太ももに触れると、明らかに細くなっています。
山を毎日上り下りしていたせいか、筋肉はさほど落ちていない感じで締まっていますが、どこかガス欠のような感じです。
やはり無理せずバスで帰るほうが賢明なようです。

下り坂で無理しすぎて足を痛めると後々大変なので、一足一足慎重に進めていき、30分ほどかけて山を下りました。

見慣れた景色が新鮮に感じられる

車や民家、沢山のお店、行き交う人々などの光景がとても懐かしく、また新鮮に感じられます。

普段は考えることは少ないですが、車一つ見ても感じることがありました。
車の動く仕組み、それを支えるガソリンスタンド、それを営業する人、石油を掘り、運ぶ人など、多くの人の営みのおかげで、継続的に成り立っている。一つでも途切れれば、車はただの鉄の塊になってしまいます。

完全には断絶していませんが、先程までいた山の上の生活とはまた違った関係性の基に成り立つ世界を色濃く感じる事ができるのも、離れてみたからだと思います。

本当に色々と観えなくなっているものが多くあります。

橋を渡る途中でもついつい立ち止まってしまいます。川の流れを見ているだけでも飽きません。そこに繋がる様々なものに思いを馳せる事ができます。

法隆寺への道のりを考えると、少し急がなければ帰りが遅くなってしまいます。

今を感じると心が満たされる

「今」を感じていると、あっという間に時間は過ぎていきますが、心はどんどん満たされていくようです。

「先」を考えると、時間を意識して事は進みますが、観えなくなるものが多くなり、いつの間にか心は擦り切れていくのかもしれません。

「今」と「先」。
どちらが良いとか悪いとかではなく、どちらを多くするとか少なくするとかでもなく、調和することが大切なのだと思います。今から先への繋がり、先から今への繋がり。

そういう今と先の間をしっかりつなぐと調和しやすいように感じます。
陰と陽が調和していくイメージで…。

さて、今を感じながら、先を急ぎます。

 

<次に続く:僕の断食体験vol.10~心と身体はどちらが強い?~

 

※関連記事

僕の断食体験~プロローグ~

僕の断食体験vol.1~初日~

僕の断食体験vol.2~目覚めの良い朝~

僕の断食体験vol.3~陽性の飲み物「梅醤番茶」~

僕の断食体験vol.4~環境による心への影響~

僕の断食体験vol.5~初めての体験~

僕の断食体験vol.6~持続する集中力~

僕の断食体験vol.7~冷たい水は飲み込めない~

僕の断食体験vol.8~ちくわの誘惑~

僕の断食体験vol.11~ついに脾気虚・肺気虚になる~


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執筆者 伏見 浩幸
漢方薬の持つ力の素晴らしさとともに、人間の持っている力もすごいなぁと日々感じています。漢方薬だけではなく、私たち自身も相談員としてお客様の「薬」なることはもちろん、今、色々なご病気で悩まれている方々も、授かった命と一緒に当然備わっている自分自身の自然治癒力に自信を持ち、自分自身が「薬」になるお手伝いができればと考えています。そんな願いを込めて一話一話を綴らせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。

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