痛みの漢方薬の使い方【風痺・寒痺・湿痺】

2018年5月8日

痛みと漢方

痛みの漢方薬の使い方【風痺・寒痺・湿痺】

痛みの原因によって漢方を使い分ける

 

50代女性、1か月前朝起きたら肩から腕にかけての重たい痛み。整形外科でレントゲンを撮ってもらったが異常なし。鎮痛剤を服用しながら様子を見ていたが、一向に引く気配がない。特に朝起きた時が一番痛くて、動かすと痛みが増すとのことでした。

お話を聞くと、5年前に閉経してから、両手指の原因不明の腫れ、五十肩等、骨や関節の症状が何の前触れもなく突然出るようになっているとのこと。

体質は、疲れやすい、寒がり、特に足先の冷え強い、肩・背中の慢性的なこり、夕方足のむくみ、肌は乾燥気味、目の下のくまがとれない、あざができやすい、目の疲れ・充血・乾燥、お通じ2~3日に1回、寝付きは良いが出産後から眠りが浅い、ストレスは常にある、産後から体重が減りにくくなっている。

痺症

中医学では、神経や関節、骨の痛みを「痺症」といい、「痺」は塞がる、通じないという意味をもちます。原因としては、主に身体の表面のバリア機能の低下により「風」「寒」「湿」の邪気が侵入し、体内の気血の流れを阻み経絡内の流れが滞ることで痛みが生じると考えます。また痺症は一般的に長期化しやすく、瘀血、痰湿を伴う場合が多いです。

何の前触れもなく突然起こる痛みは典型的な「風」の症状です。体質的に寒がりや冷えは「寒」の影響を受けており、こりやくま・あざができやすいのは血の巡りが悪い証拠(瘀血)、むくみや体重が減らないのは「湿」が体に溜まっている状態(痰湿)と考えられます。

風痺・寒痺・湿痺

初回は、発症が1か月前で、上半身の症状だったので、邪気は上部から侵入し、まだ体表に残っていると考え、とくに後背部を温め、血流をよくして、筋肉をほぐすような漢方薬を飲んでいただきました。すると次第に痛みは軽減され、2か月後には通常の肩こりがある程度で、初回ご来店の時の重たい痛みはすっかりなくなりました。

(※風痺:邪気がまだ体内深部まで侵入していない。人体上部から入り込むため、痛みやコリはまず上肢、肩、項背部に現れる。)

2か月後、今度は肘から手首にかけての筋が痛むように。腕→肘→手首→手指へと痛みが移動していきました。この時期はクーラーが入り始めた頃。手足の末端がずっと冷えていて、動かすと特に痛みを感じることから、体表だけでなく深部から温めて、血も補いながら血の巡りと水の巡りをより良くする漢方薬を飲んでいただきました。すると3か月後にはさっぱり痛みが取れ、ほっと一安心。

(※寒痺:痛みが強い。陽気を損傷し、血行が緩慢になり瘀血を伴うことが多い。冷気にあたると痛みが増す。日中よりも夜間に痛みが強くなる。)

その後も良い調子でしたが、今度は左手中指の痛みが出てきました。暫くすると赤みはないが腫れも出てきて、日中だけでなく夜も痛い。動かしにくく、重たい痛みを感じる。これまで温めて血の巡りを良くする漢方薬から、今回は水の滞り(湿)を取り除く漢方薬へ変更しました。すると服用1週間くらいで症状が軽減!

(※湿痺:痛みはしつこく固定し、関節が腫れて、重たい感じ。温めると軽減する。)

 

 

西洋医学では痛みといえば痛み止めを処方されますが、一口に痛みといっても原因は様々。特に体が弱っている時やバランスを崩している時は様々な邪気の影響を受けやすいので要注意。日頃からの養生と、慢性化しないように早めに対応してあげることが大切です。

 

漢方みず堂ヴァインドラッグ末吉薬局 山城 奈央

 

 


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