僕の断食体験Vol.20~今、を五感で味わう~

2018年8月12日

マクロビオティック

僕の断食体験Vol.20~今、を五感で味わう~

最終日の朝

いつも通り7時に起床し、身支度を整えます。慣れたもので、手探りでストーブのスイッチを付け、布団を畳み、背伸びをして、顔を洗いに外の流しに向かいます。冷たい水も想定内とはいえ、まだまだ冷たく、顔に水をかける時は多少覚悟がいります。

 

秋から冬への変わり目。普段の生活の中で、肌で感じるということも、当たり前ではなくなってきていることに、ふと気づかされます。

このように、今の、このひと動作をしみじみ感じる時間は非日常になっています。ここにいると、心はここに在らずという日常が懐かしく感じます。

そして、いつも通りの落ち葉の掃き掃除。

 

ザッ、ひと掃き。一葉。

ザッ、ひと掃き。一葉。

ザッ、ひと掃き。一葉。

 

柔らかい朝日の温もり、竹箒と土が触れ合う音、済んだ空気の流れ、まだ活き活きとした落ち葉、白い息。 今、この瞬間を五感で感じていると、自然に心が落ち着きます。

終心を味わうひととき

8時になり広間へ向かいます。いつも通りに梅醤番茶のセットが用意されています。

入れる醤油量の加減も自分好みに入れられるようになりました。最後と言う事もあり、いつも以上に新鮮に感じます。

初心忘るべからず、とは違いますが、終心(という言葉はありませんが)も心に感じます。

これが最後と思えば、いつも以上に丁寧に味わいますし、後片付けもビシッとできます。こういう心も日常大切にしたいです。

 

広間の額縁の言葉も再度、心に留めようとしばらく眺めていました。

 

幸福の三則

今日一日腹を立てぬ事

今日一日悪口を言わぬ事

今日一日家内中拝み合う事

右の通り固く相守る可き者也

 

末代の幸福

一、其の儘結構と喜び通す事

一、人の世の為に奉仕する事

一、有難い有難いと腹から唱える事

右怠りなく実行する事

 

今ならできそうな気もします。しかし、日常こそが最も難しい修行の場とも言われる通り、この場を離れてこれを行なうことは相当困難な事だと感じ、一言一言メモを取りました。

意識しても忘れるもの。まだまだ心の弱さを自覚しているからこそ、思い出すきっかけが必要です。

 

メモを取り終え、梅醤番茶セットのお盆を台所にお返し。誰もいないですが、自然と深々と頭が下がります。

いよいよ道場を出る時間が迫ります

心が急に落ち着きを無くします。

散歩中も心ここに在らずという状態で、戻ってからのことを考えることに心を奪われてしまっています。帰ってからの食事プランを立てていなかったことに今更ながら焦り始めたのでした。

心が落ち着きを取り戻す前に10時近くになり、道場に急いで戻ります。

 

再び広間に入ると、玄米の三分粥(水分が多目のお粥)が用意されていました。今は断食後の復食期間にあたります。断食は土台作りで、復食期間の食養生が仕上げになります。

断食後のある時期、異常に食欲が起こる場合があるそうです。しかし、この時期に無茶な食べ方をすると、せっかくの断食修行が失敗となると言われています。

一日目はおもゆと梅干しから、二日目は玄米の三分粥と、徐々に食べる期間が必要とされています。

 

いただきます。

しっかり手を合わせ、深々と頭が下がります。食事に集中したことで、自然に心も落ち着きを取り戻しました。塩味がとても美味しい。

胃がびっくりしないか心配でしたので、良く噛んで少しずつ飲み込みます。一口に100~200回噛んでいると、久々ということもあり、顎が疲れてきます。

今あることに感謝

食べ物に感謝。

育ててくれた人に感謝。

作ってくれた人に感謝。

噛むことができる顎に感謝。

食べられる体に感謝。

生きていることに感謝。

生かしてくれている人に感謝。

命を頂いたご先祖様に感謝。

命を育んでいる自然に感謝。

 

色々なことに思いを巡らせ、最後の一口までしっかり食べきりました。1時間程かかりましたが、非常によい時間でした。

ごちそうさまでした。

 

しっかり手を合わせ、深々と頭が下がります。

最後に体重を量ると、初日と比べて、約5kg減。久々にスーツに着替えると、ベルトの穴が二つくらい緩く、太ももあたりが異様にブカブカです。バタバタと羽ばたかせられる程に。面白くなり、ひとしきりバタバタとした後、ふと我に返り、部屋をきれに片付けます。

部屋のドアを閉める前にも自然に頭が下がります。

 

預けていたお財布を受け取りに道場入り口近くの小部屋へ。数回、ノック。

返答はありませんが、人影があったので入りました。予想通り、最近見かけなかった老人がそこに座っていました。用件をお伝えし、ゴソゴソと僕の財布を探し出すまでの数分の間、改めて断食や正食に関する書籍を眺めていました。

無事財布を受け取り、受け取りのサインを記入し終え、バス停に向かいます。

日常へ再び

長いようで短かった8日間に渡る断食もこれで終わりです。

早速、上司と家族に電話をし、無事終了の報告をしました。どちらも驚くほどにそっけなく、詳しい話をしたかったですが、聞いてもらえる雰囲気ではないことを察し、お礼だけを告げて電話を切りました。

 

さて、ここからが本番です。

この先どうするかを考える時間がないままに、再び日常へ足を踏み入れていきます。

 

<次に続く(最終回)>

 

※関連記事

僕の断食体験~プロローグ~

僕の断食体験vol.1~初日~

僕の断食体験vol.2~目覚めの良い朝~

僕の断食体験vol.3~陽性の飲み物「梅醤番茶」~

僕の断食体験vol.4~環境による心への影響~

僕の断食体験vol.5~初めての体験~

僕の断食体験vol.6~持続する集中力~

僕の断食体験vol.7~冷たい水は飲み込めない~

僕の断食体験vol.8~ちくわの誘惑~

僕の断食体験vol.9~3日目の脱力感~

僕の断食体験vol.10~心と身体はどちらが強い?~

僕の断食体験vol.11~ついに脾気虚・肺気虚になる~

僕の断食体験vol.12~癌(ガン)と正食~

僕の断食体験vol.13~力みなぎってきた5日目~

僕の断食体験vol.14~命とは、生とは、死とは~

僕の断食体験vol.15~人生で一番痩せた日~

僕の断食体験vol.16~僕は断食によって何を得たのか?~

僕の断食体験vol.17~世界の長寿の人に学ぶ生きる秘訣~

僕の断食体験vol.18~6日ぶりの食事~

僕の断食体験vol.19~何の為に食べるのか?~


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執筆者 伏見 浩幸
漢方薬の持つ力の素晴らしさとともに、人間の持っている力もすごいなぁと日々感じています。漢方薬だけではなく、私たち自身も相談員としてお客様の「薬」なることはもちろん、今、色々なご病気で悩まれている方々も、授かった命と一緒に当然備わっている自分自身の自然治癒力に自信を持ち、自分自身が「薬」になるお手伝いができればと考えています。そんな願いを込めて一話一話を綴らせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。
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