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腎気不足の夜尿症~半年で失敗ゼロに!~

2018年10月9日

子供の漢方

腎気不足の夜尿症~半年で失敗ゼロに!~

おねしょを治したい!

少し緊張した面持ちでお母様と来られた小学一年生の男の子。おねしょが治らず、2年程前から夜尿症の薬を飲み始めたそうです。大方改善したため薬を中止してみたところ、無事だったのは1ヶ月に5日くらい。寝付くと熟睡し、寝たままおしっこしてしまう。量は日によりけり、たっぷりどっしりの時も・・・。お昼はといえば、どちらかというとトイレは遠い方。

チラッと見せてくれる、はにかむ笑顔が素敵な頑張りやさんの男の子。「治したい!」という強い意志で、漢方を飲まれることになりました。

 

体質は、寒がり・汗かき・寝汗・首こり・乾燥肌・発疹出やすい・頭痛もち・目の乾燥・充血・鼻づまり・水分1L(冷飲)・食欲少なめ、体格は小柄

■夜尿症(おねしょ)の原因

西洋学的に主な要因は4つ

○抗利尿ホルモンの不足・・・夜間はこのホルモンのおかげで尿量が抑えられています。

○膀胱容量の未発達・・・膀胱のサイズが小さいと、溜められる容量も少なくなります。

○心理的なストレス・・・心の緊張状態は、膀胱の機能を不安定にします。

○器質的な異常・・・生まれつき形状に問題があり、溜めることができないつくり。

 

基本的におねしょは、乳幼児にとってはごく普通のこと。子供の内臓機能は成長途中であり、体の成長と共に、膀胱容量が増えて尿を溜める力がついてきたり、夜作られる尿量を少なくコントロールできるようになってきます。そのスピードは人ぞれぞれですが、小学生にあがっても続く場合は「夜尿症」と診断されます。夜尿症は10%くらいの小学生にみられるようです。

夜尿症と診断されても、器質的な問題でなければ、ほとんどの場合は自然に治っていくものです。ですが、本人やご両親にとっては、一刻も早く治したいもの。もし治らなかったらと不安から逃れられないことと思います。

 

漢方的に夜尿症をみると、大きく3タイプ

腎気不足・・・成長を促す〝腎“の力が足りないと、内蔵機能の発達が遅くなります。

産まれつき腎気が弱い、あるいは病気など大きな負担でも腎は弱ります。

脾肺気虚・・・“脾”“肺“が生みだす〝気”が少ないと、留める力が弱くなります。

水分代謝もうまく働かないため、体に余分な水が溜まりやすくなります。

肝経湿熱・・・自律神経をコントロールする“肝”が過敏になり、少しの刺激で尿意が

もたらされたり、神経のバランスが崩れて調節がきかなくなります。

 

子供の場合、夜尿症の要因として大半は、体の機能が未発達ということ。従って、その機能を発揮させる為に、成長を後押しすることが必要です。

漢方では、全体的な成長を支える一番重要なものは“”という臓腑。両親から引き継いだエネルギーを“腎”に蓄え、それを源に身体機能を成熟させていきます。成長する過程で自然に治まるはずの夜尿症が長引くということは、“腎”の力が弱いということが考えられます。

 

次に成長に関わるのは、“”と“”の臓腑。これらは食べ物や大気から、体をつくる栄養と、活動源となる気を取り込むところです。栄養とエネルギーが不足すれば臓腑は弱くなり、機能を維持できなくなる結果、溜めるべきものが漏れ出てしまいます。また、“脾”と“肺”は水分の代謝を担うところ。これらが弱いと水はけが悪くなり、むくみとして体内に滞ります。その余分な水が寝ている間に膀胱に押し寄せてしまうと、容量をオーバーしてしまいます。

 

そして、上記2つとタイプが異なるのが、大人の夜尿症や、子供でも途中から夜尿症になった場合。これらは精神面が絡むものが多く、“”の失調によるもの。“肝”は気の巡りをコントロールし、様々な神経を調節しているところ。過度な緊張、ストレスなど、“肝”の働きを押さえ込む事があると、鬱滞した気が熱に変化して、神経を刺激します。神経がちぐはぐに働いてしまう結果、突然コントロールできなくなります。この場合は、“肝”の過剰な熱を鎮めて自律神経のバランスを整えていく必要があります。

■成長をつかさどる“腎”を補強し、半年で失敗ゼロに!

この男の子の場合は、腎の力不足によるものでした。漢方を始めて1ヶ月。1週間のうち6日成功!順調な出だしに、ご本人もお母様もとても嬉しそう。もちろん、そうすぐには卒業とはいきません。成功と失敗を繰り返しながらも、治ると信じて飲み続けてくれました。

当初はお母様が準備されていた漢方薬を、いつしかお子様自身で準備して飲むように。約半年が過ぎた頃には、1回も失敗しなくなりました!

 

「本当によかった」それまで穏やかに見守って来られたお母様も、ようやく不安から解放されたことでしょう。治したい!というご本人の強い意志と行動、それを見守るお母様の想い、2つの思いが後押しして成し遂げた結果です。人それぞれ、自分のペースを持っています。早いから良い、遅いから悪いというわけではありません。

ご兄弟やお友達、他の誰かと比べすぎないこと。焦らせることなく、お子様の力を信じて見守ること。大切なのはそういうことなのだと、お母様の姿を拝見していて感じました。

 

9歳のお誕生日を迎える頃、ご両親と一緒に会いに来て下さり、少し照れながら「ありがとう」と、いつものはにかむ笑顔を見せてくれました。その笑顔に、私の心はほっこり温まりました。お友達とのお泊りも宿泊体験学習も、心配せずに学校生活を思いっきり楽しんで!!

 

漢方みず堂杏林堂薬局ピーワンプラザ天王店 川崎 里奈

 

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執筆者 漢方みず堂
株式会社漢方みず堂は福岡、北九州、佐賀、熊本、那覇、浜松に展開する西日本最大の漢方相談薬局です。

中学3年生の夜尿症「寮生活に向けて治したい!」

2018年7月20日

子供の漢方

中学3年生の夜尿症「寮生活に向けて治したい!」

中学3年生の女の子

ずっと夜尿症でお悩みで、小学5~6年生の頃には通院するものの治らず、紙オムツをして就寝する毎日。夜中も気づかない程の熟睡。

ですが、高校進学に伴い、寮生活が決まり、どうしても治したい!治してあげたい!とお母様とご一緒にいらっしゃいました。

とても素直でまじめで、お母様からも、下のお子様方からも頼られ、目標とされるお姉ちゃん。そして部活でもキャプテンとしてチームを引っ張る重要な存在でした。ですがその分、周りの方々にとても気を遣い過ぎるタイプ。おりこうさんで、非の打ち所がない感じ。起きている時は一生懸命頑張って、寝ている時のみがホッとする時間だったのかな?と思った程でした。私も何とか治って欲しい!今後の人生を応援したい!そんな風に感じました。

体質としては、寒がり・冷え性・アレルギー体質・汗かき・肩こり・むくみ・たぶんストレスによる頭痛・季節の変わり目は鼻詰まり・食欲多め・便秘ぎみ・お小水少ない・月経バラバラ(1ヶ月に2回あったり、4ヶ月空いたり)

夜尿症の原因

小学生にあがっても、おねしょをする場合は「夜尿症」と診断されます。

成長と共に夜間は尿を作らないホルモンが出てくるのですが、そのホルモンがなかなか出てこないので、いつまでもおねしょをしてしまいます。

つまり、これは漢方で言うと成長を司る「腎」が弱かったり、「気」の不足が原因です。

今回の方は、ずっとおねしょが続いていたので、そもそもが虚弱なタイプ。そこに、部活動などで過度な消耗をしていたので、いつまでも「気」が不足していると考えられました。性格的にも、気を使いすぎる傾向にあるため、気を消耗しがちだったとも考えられます。

したがって、虚弱体質の方によく使うお腹を温めて強くし、気を補う漢方薬を飲んでいただきました。

2ヶ月で半減

漢方薬を飲み始めて、「まずこのにおいに癒されるし、次の朝、失敗しなかった!」とおっしゃり、私もビックリしました。

その後も波はありましたが2ヶ月目には半減。そして、夜中にトイレに気づくようになられました。この頃より、昼間のお小水の回数が増え、肩や背中のこりがなくなり、よくつっていた足もつらなくなり、部活でアップするだけで、人よりすごくかいていた汗が気にならなくなったそうです。そして何より、自分の意見が言えるようになってきた事。「しっかり甘える事や自己主張が出来る様になってこられた事が1番嬉しい」と、お母様はおっしゃっていました。「今までたくさん我慢していたと思うし、それを表に出せなかったと思います。」ともおっしゃっていました。

その後すぐ寮生活が始まり、「不安だらけだけど、やるしかない!」とご自身でおっしゃり、入学されました。寮が2人部屋で大丈夫かな?と私も気になっていましたが、入学2ヶ月目にお聞きした時には、「今では全くおねしょしてない」そうで、私もホッとしました。

周りの方々を気遣いながらも、自分の夢・未来を開いていく彼女を、応援しています!!

 

漢方みず堂新生堂薬局五条店 池田 史子


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執筆者 漢方みず堂
株式会社漢方みず堂は福岡、北九州、佐賀、熊本、那覇、浜松に展開する西日本最大の漢方相談薬局です。

子供のチックに抑肝散加陳皮半夏を飲ませてみた

2018年7月6日

子供の漢方

子供のチックに抑肝散加陳皮半夏を飲ませてみた

始まりは小学3年生の春休み

我が家の長男が3年生になろうとする春休み、首をかしげるチックが始まりました。

初めは、ゲームをしている時に頻繁にするので、ゲームのしすぎで首が凝っているのか??と思い、「ゲームやめなさい!ほら!首が疲れとうやないね!」と叱っていたのですが、どうやら、そうでもないみたい??

背は高め、体格は細め、大変活発。性格はとても温厚、あまり怒ったりイライラすることはなく、3人の子供の中では最も手がかからず、子供の悩みと言えば専ら長女・・・という感じで、一般的にチックが出やすいといわれるようなタイプではないので、大変戸惑いました。

チックの場合、あまり周囲がとやかく言わないほうがいいので、騒ぎ出した両親にも言わないように釘を刺し、私も知らんぷりをするように心がけました。それでも、やはり親としては非常に気になる・・・・

ある日、「何で俺のことそんなに見とうと?」と言われ、ハッ!!!どうしても見てしまっていたようです・・・・

親の知らないストレスがあるのか??色々ガミガミ言い過ぎなのか?そんなことを悶々と考えてしまいました。

チック症について

チックにも色々あり、発症する時期も色々あるようです。なぜか、男の子に多く、6~7歳で発症することが多く、ほとんどの場合が一過性のようです。

症状も、よくある瞬きや首のひねりといった運動性チックの他、吃音(どもり)や鼻をならしたりする音声チックなど様々なようです。また、色々な症状が入れ替わり立ち代りということも。実際、我が家の長男も、首をひねる時期、鼻を鳴らす時期、咳払いをする時期、指をぱきぱき鳴らす時期、など様々現れました。

原因はよく分からないものの、神経質な子に多いこと、ストレスで引き起こされること、などがありますが、息子にはどうもあまり該当しません。何と言っても、始まったのは春休み中。春休みは宿題もなく、朝の10時から18時まで、ずっと外で遊んでいて、ストレスなんてあるはずもない・・・・「あ~今日もいい一日だった~」と言いながら、夜はテレビを見て21時にはぐっすり寝ています。クラス替えなどの環境の変化なども特になく、友達とのトラブルの様子もなく、チック以外何の気になる兆候もなく、なんでだろう?と思っていました。親には分からない、何かがあるのかな・・・よく分からないという状況は本当に心がモヤモヤ・・・悶々としてしまいますね。

そんな中、脳が急激に発達する段階で起こることがあるという情報を見つけ、もしかしたらそうかもしれない・・・と思い当たる節がありました。

1~2年生の頃は低学年ということもあり、可もなく不可もなく・・・という成績だったのが、この頃から急に伸び始めました。ずっと習っていたピアノも、なぜか、このチックが始まってからみるみる上達し、ピアノの先生から「こんな秘めた能力があったんですね」と言われたほど。

脳の発達段階!な~んだ!むしろいいことじゃん!ぐらいに思えると、私自身大して気にならなくなっていきました。

チック症の漢方薬

漢方薬も試してみました。

当初、ゲームのしすぎで首が凝っているのかと思っていたときは柴胡桂枝湯という肩こりなどにも良く使う漢方を飲ませてみましたが、いまいち?

そこで、いよいよチック症だと確信してからは、抑肝散加陳皮半夏という漢方を飲ませました。2週間ぐらい飲むと、症状が落ち着きました!本人も「これを飲むと気分がいい」と言って「漢方ちょうだい!」と言ってきます。ただ、全く無くなるということはありません。

抑肝散は去風剤と言われ、チックの他、まぶたの痙攣や手足の震えなど、筋の異常によく使われます。性格的には癇が強い子供に適しています。穏やかな息子にはどうかな?とも思っていましたが、証が完全に合致せずともいいんだなと学びました。運動性のチックがある場合は、まずは抑肝散を飲んでみるといいと思います。ちなみに胃腸が弱い場合は抑肝散に陳皮と半夏が入った抑肝散加陳皮半夏、緊張が強い場合は抑肝散に芍薬と黄連が入った抑肝散加芍薬黄連があります。体質に合わせて選んでください。

性格的に神経質で運動チックというよりも音声チックが強い場合は、柴胡加竜骨牡蠣湯や柴胡桂枝乾姜湯や桂枝加竜骨牡蠣湯などを飲んでみてもいいと思います。

また、虚弱で腹痛を起こしやすいようなお子さんであれば、小建中湯もいいかもしれません。小建中湯には芍薬・甘草という筋の引きつりを解消するコンビの生薬が入っているので、意外とチックやおねしょなどにも有効なことがあります。

秋と春は酷くなる?

チック症状自体、非常に波があります。1年振り返ってみると、秋と春が酷かった印象です。確かに漢方的には運動チックは「風」の症状のため「風」の吹く「春」は酷くなりやすいと考えられます。酷い時は漢方を飲ませて少し症状を落ち着かせながら、そのうち無くなるといいなと思っていますが、4年生になった今もチック症状が出ています。

周りの友達はあまり気になってないようで、時々「なんで首こんなんすると!?」と聞く子もいますが、「癖よ!」と言うとふ~んとそれで終わり。「違い」を受け止める力は、大人より子供のほうが柔軟なのかもしれませんね。

そのうち良くなるだろうという気持ち半分、もし一生続いても、そんな人もいるよなという気持ち半分で気長に付き合っていこうかなと思っています。

酷い時には漢方を飲ませれば若干緩和されるというのは、親心としてはずいぶん救われています。同じお悩みを持つ親御さんがいらっしゃいましたら、ぜひご参考にしてください。

 


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執筆者 福田 茜
九州大学薬学部卒 薬剤師・漢方みず堂漢方専門相談員
病院やメーカーを経て、株式会社漢方みず堂へ入社。
3児の母でもあり、妊娠・出産・子育てに関する漢方経験も多数あります。
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