生薬 の記事一覧

鹿茸(ろくじょう)

2018年7月24日

生薬

鹿茸(ろくじょう)

■鹿に生えるきのこ!?

鹿茸は、梅花鹿、馬鹿など大型の雄鹿の幼角(袋角)です。

鹿の角は、毎年春になると抜け落ち、そこから新しい角が生えてきます。幼角とは、この生え始めの、皮膚で包まれた柔らかい角のこと。見た目も育ち方も、まるで鹿に生えるきのこのように見えることから、鹿茸といわれます。

幼角は育つにつれ、徐々に骨化し、夏前には丈夫な角が出来上がります。この状態まで育つと、鹿角(ろっかく)という生薬です。鹿茸に似た効果もありますが、薬力は劣ります。

角の骨化は、根元の内側から進み、それにつれ、栄養は失われていくため、鹿茸としては、若いほど、先端部(上台)ほど、高品質です。

■鹿茸の効能

鹿茸は、助陽薬の代表格。動物生薬ならではの、強いパワーを持っています。

一般的に漢方薬は時間がかかるといいますが、比較的、即効性が期待できるものです。

○補真陽・益精血・強筋骨 ~根本の生命エネルギーを補う~

「腎」には、生命力の源「腎精」が溜められており、一生涯に渡り生命活動を維持する力、そして、次世代へ命を引き継ぐ力を持っています。

この腎精からは、人として在る為の基礎「陰(真陰)陽(真陽)」が生まれます。陰は体を形作り、滋養するもの、陽は原動力、機能させるエネルギーです。

生きていく上でとても重要な腎。ここが衰弱すると、全身的な機能衰退につながります。小児の発育不良や、いわゆる老化現象などがその現れです。

ただし、腎は年齢を重ねるごとに消耗していくものなので、年相応の変化は自然なことです。

鹿茸は、体本来の機能を発揮させる「真陽」を補い、さらに、その真陽を支える「精血」も増やします。

子供の成長が遅い、無月経、無気力、足腰の脱力感、冷え、卵子が育たない、インポテンツ、遺精、頻尿、など腎精不足の症状に、鹿茸の力が大きな助けになります。

○調衝任、固帯脈 ~妊娠の鍵!衝任脈を整え、帯脈を強化~

衝脈・任脈は、子宮から発する気血の通り道。生理や妊娠を調整します。帯脈は、帯のようにお腹~腰を横に通り、縦に通る他の経脈を束ねる脈です。

これらが弱ると、生理周期が乱れたり、赤ちゃんの為に必要な栄養が蓄えられず、不正出血、帯下が多くなったりします。

鹿茸は、衝脈・任脈が子宮へ十分な気血を届けられるように、また、帯脈の留める力を強化して、妊娠に必要な環境づくりを担います。

○温補内托 ~生気を増やして治癒力アップ~

慢性や反復する潰瘍・フィステルなど、薄い浸出液が出たり、あまり化膿せず、治りきらない炎症などは、治癒力が足りずに長引いている状態。

毒素を出すのに必要なエネルギーと、傷口を再生させるだけの栄養をつけ、回復を助ける際にも鹿茸が役立ちます。

■妊活中の方にとって強い味方

現代社会は、晩婚化や、自然でない食、運動不足、過労など、「腎」の力を低下させる環境が少なくありません。

また、不妊治療で、採卵の為に排卵誘発剤を使い続けると、だんだん卵がとれなくなってきますが、「腎」が疲弊している兆しです。

男性も女性も、命をつなぐ為の力は「腎」に宿ります。体に過度に負担をかけてしまったり、あるいは、何もしなくても時間と共に、その力は失われていきます。

妊娠の為に大切な事は、「腎」の力をつけること、そして、それができるだけ早い方が良いです。

妊娠力の根底にある「腎」の強化、動物生薬ならではの即効性、この2つの長所がある鹿茸は、妊活中の多くの方におすすめです!

 

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執筆者 児島 諒子
薬剤師・漢方みず堂漢方専門相談員

一時的にではなく、体質からの改善につながる漢方に魅力を感じ、大学生で初めての就活をしている中で出会ったのが、漢方みず堂。
漢方は勉強するほど、奥深くておもしろいです。
今の身体の状態をつくっている心の持ち方、食事、運動、休息など様々なことに目を向けながら、漢方の力を生かして心地よい体づくりをお手伝いできればと思います。

川芎(せんきゅう)

2018年5月23日

生薬

川芎(せんきゅう)

川芎は、セリ科センキュウの根茎を、湯通しして乾燥させたものです。セリ科だけあって、香り高く、セロリのような香りがします。

補血の基本処方である「四物湯(しもつとう)」に含まれる生薬の一つです。四物湯に含まれる他の3つの生薬、当帰・芍薬・地黄が血を補う作用が主に対して、川芎は血を巡らせる作用が主であり、他の3つの生薬が身体の隅々まで行き渡るために大変重要な役割を担っています。

「血」は、体を形作るもので、肌や筋肉、髪、目など、全ての細胞を養うものです。

特に女性にとっては、体のベースとなるのは「血」であり、その状態は体調に大きく影響します。

そんな「血」に作用する川芎は、肌のお悩みや女性の不調に使われる漢方薬など、とても重宝されています。

■効能

○活血行気 ~気・血を巡らす~

気血の滞りは、ストレスなど「気」がきっかけとなって起こることも、冷え・どろどろ血など「血」からのこともあります。「気」は「血」をコントロールし、「血」は「気」を養う、相補的な関係性。

川芎は、「血」の巡りを良くしながら同時に「気」も流すことで、効率よく全身へと巡らせます。

生理周期、生理痛、肌荒れ、妊娠中、産後、更年期など、気血の巡りが影響する女性の体調変化には、欠かせないものです。

 

○去風止痛 ~痛み・しびれ・痙攣を鎮める~

川芎は、痛みの元となる気血の滞りを緩和します。その他にも、温めて発散する性質から、風邪(ふうじゃ)による痛み・しびれ等にも良いです。風邪によるものは、首元がゾクゾクする時や、寒さ・冷たい湿気にさらされた時に悪化する症状です。

風邪からの頭痛、顔面痛、歯痛、自律神経の乱れによる偏頭痛、打撲痛、関節痛など、他の生薬との組み合わせによって幅広い痛みに使われます。

■川芎を含む漢方薬

○婦人科系でよく使う漢方薬

温清飲、当帰芍薬散、十全大補湯、温経湯、折衝飲、連珠飲、当帰散、芎帰膠艾湯、芎帰調血飲、加味逍遥散合四物湯、女神散など

○肌トラブルによく使う漢方薬

荊芥連翹湯、柴胡清肝湯、清上防風湯、十味敗毒湯、当帰飲子、治頭瘡一方など

○痛みによく使う漢方薬

治打撲一方、川芎茶調散、疎経活血湯、清上蠲痛湯など

○その他

鼻づまりに葛根湯加川芎辛夷、声枯れに響声破笛丸など


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執筆者 児島 諒子
薬剤師・漢方みず堂漢方専門相談員

一時的にではなく、体質からの改善につながる漢方に魅力を感じ、大学生で初めての就活をしている中で出会ったのが、漢方みず堂。
漢方は勉強するほど、奥深くておもしろいです。
今の身体の状態をつくっている心の持ち方、食事、運動、休息など様々なことに目を向けながら、漢方の力を生かして心地よい体づくりをお手伝いできればと思います。

薄荷葉(はっかよう)

2018年3月26日

生薬

薄荷葉(はっかよう)

新鮮なものが◎

生薬の薄荷葉は、シソ科ハッカの葉を乾燥させたものです。

ハッカは西洋名でミントとも呼ばれ、昔から世界中で栽培されており、品種は何百種類もあるようです。

使い方も幅広く、生のまま料理や飲み物に添えたり、乾燥させてハーブティーやポプリとして、抽出液をアロマオイルとして、また、ハッカの成分は医薬品としても使われています。

ハッカは生でも乾燥でも使われますが、乾燥させることで成分が濃縮されます。

ただ、時間が経つにつれ、成分が揮発するので、効果を期待するなら、乾燥したての新鮮なものが良いです。

薄荷葉の性質

ハッカといえば、清涼感。ひんやり、すーっと沁みるような香りがします。

薄荷葉は涼性で、発散の性質を持つので、熱がこもっている時、イライラする時のクールダウンに働きます。

葉っぱという、軽く浮き上がる性質から、効果を発揮しやすい場所は、体の表面(肌、呼吸器)や上部です。

ちなみに、同じシソ科の紫蘇の葉っぱも漢方で使われますが、紫蘇葉は温性です。

薄荷葉の効能

○疏散風熱、清頭目、利咽喉

ガンガンする頭痛、目の充血、咽の痛みなど、急性の炎症や激しい熱症状は、熱が部分的に鬱滞して煮えたぎっている状態です。

薄荷葉は、熱毒を冷やしながら外へ追いやって、炎症を鎮めます。

 

○透疹止痒

麻疹の初期など、湿疹が十分に出ず、肌の中でくすぶっているような時、毒素を押さえ込むより、肌から出し切った方が、治りが早いです。

薄荷葉の発散の性質は、毒素が外へ出ていくように助けます。

また、冷やす性質が、かゆみを鎮めます。

 

○疏肝解鬱

ストレス、季節の変わり目、不規則な生活・・・など、気をコントロールする臓腑「肝」が緊張状態になると、気持ちが不安定になり、ホルモンバランス、自律神経が乱されます。

薄荷葉のすーっとする香りは、固まっている「肝」を元通りに伸びやかに動かし、気の巡りを安定させます。

薄荷葉を含む漢方薬

○逍遥散、滋陰至宝湯  ・・・ 虚弱で自律神経が不安定になりやすい人に

○荊芥連翹湯、柴胡清肝湯・・・ 鼻炎、中耳炎、湿疹、扁桃腺炎などアレルギー体質に

○防風通聖散      ・・・ 脂肪を溜め込みやすい体質に

○清上防風湯      ・・・ 膿やすいにきび、結膜炎、副鼻腔炎など上部の炎症に

○響声破笛丸      ・・・ 声枯れ、喉の不快感・痛みに

○銀翹散        ・・・ 喉の痛み、口の乾燥、頭痛などの風邪症状に


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執筆者 児島 諒子
薬剤師・漢方みず堂漢方専門相談員

一時的にではなく、体質からの改善につながる漢方に魅力を感じ、大学生で初めての就活をしている中で出会ったのが、漢方みず堂。
漢方は勉強するほど、奥深くておもしろいです。
今の身体の状態をつくっている心の持ち方、食事、運動、休息など様々なことに目を向けながら、漢方の力を生かして心地よい体づくりをお手伝いできればと思います。
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