
徘徊などの周辺症状は春に要注意
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徘徊による行方不明者2年連続1万人超え
警察庁生活安全局生活安全企画課の発表によると平成26年に認知症が原因で行方不明になったとして家族らから警察に届けられたのは1万783人。うち男性6130人、女性4653人。前年より461人(4.5%増)多く、2年連続で1万人を超えていることがわかりました。
徘徊は、認知症の中期になるとよく見られる症状です。外に出れば他人を巻き込む可能性もあり、介護者にとって重大な周辺症状です。
介護の現場では、認知症の患者さんは季節の変わり目と夕方に不安定になりやすいと言われています。
春は「肝」の季節
古代中国に起源を持つ哲理として五行説があります。その五行説でいうと春は「肝」の季節です。春は肝が亢進しやすくなります。
肝臓は解毒機能を担いますので、デトックスには最適の季節。ダイエットにはもってこいです。一方で、肝は単に現代医学でいう肝臓をさすだけではなく、気を全身にめぐらす働きも担っています。すなわち自律神経の機能です。肝が亢進すると交感神経が刺激され、のぼせ・めまい・睡眠障害・便秘などが起きやすくなります。
徘徊をはじめ、妄想・幻覚・暴力・睡眠障害・抑うつ・うわごと・ふらつきなど、認知症の周辺症状は自律神経の乱れが大きく関わるため、春先はこのような症状が出やすい季節です。
抑肝散は春の漢方
認知症の周辺症状に効果がある有名な漢方に抑肝散があります。字の如く「肝」を抑える薬です。より専門的な解説をすると、抑肝散は体の中に起きた「風」を鎮める漢方です。肝が乱れると、体の中に風が生じ、まさに風のようにふわふわと上の方に上がってくる症状、めまい・ふらつき・興奮・のぼせなどが起きます。そんな時、抑肝散は上がってきているものを下げて鎮めていく効果があり、まさに春にぴったりの漢方です。
※抑肝散については認知症の漢方は抑肝散だけではない!、「風」についてはめまい、耳鳴り、頭痛には熄風剤(そくふうざい)で詳しく解説しています。
漢方的春の過ごし方
漢方の古典「黄帝内経(こうていだいけい)」には、春は花や草木の芽が吹き、それまで静かにしていた動物や昆虫が外に飛び出し、川や海に住む生き物まで自然の全てが活き活きと栄えてくる季節なので、春の3ヵ月を発陳(はっちん)と言って、その養生法が次のように述べられています。
「この季節には、少し遅く寝て少し早く起き、楽な格好で外に出てゆったりと歩き、体をのびやかにし、春に芽生えた万物と同じように、心身ともに活き活きと、活動的な気持ち、あるいは活動するのがいい。これが春の季節に調和した養生法である。 もし、養生法に逆らって、活動しなくて気持ちが沈んだままだと、五行による春に配当する臓器である肝を傷害し、夏になっても汗をかかず寒性の病(冷え症)にかかりやすくなる。」春は特にのびのびと
認知症の中期からは介護者の負担が大きくなってきます。春という季節の心構えを事前にしておくと少しは心の余裕が生まれるかもしれませんね。徘徊はつい強く制止してしまったり怒ってしまいがちです。本人はなぜ怒られているのかわかない、忘れてしまうものの無意識の中で嫌なことをされたという感覚が残り、徘徊をまた繰り返すという悪循環になることもあります。ストレスを与えない対応、外に出たがるようであれば家族が寄り添って短時間でも一緒に歩いてあげるなど、介護をする側も、春は特にのびのびと、を意識してみてはいかがでしょうか?
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