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癌と免疫力とβ-d-グルカン~踊る大捜査線で例えると~

2015年5月19日

癌と漢方

癌と免疫力とβ-d-グルカン~踊る大捜査線で例えると~

免疫とは?

免疫とは異物を排除する生体反応で、癌という異物を排除する力を人間は備えています。その仕組みと免疫力を上げるとはどういう作用なのかをご紹介していこうと思います。

免疫細胞は「現場」と「会議室」に

免疫細胞=白血球です。白血球は①顆粒球(好中球・好酸球・好塩基球)②単球(マクロファージ)③リンパ球(B細胞・T細胞・NK細胞)の3種類に分かれます。

この免疫細胞達を「現場」と「会議室」に例えるなら・・・・

「現場」はマクロファージとNK細胞。青島とすみれさんです!この2人は異物を探し出し、そのままガブガブ飲み込んでしまったり、その情報を「会議室」へ送る役目があります。

「会議室」の室井さんはT細胞!現場からの情報を元に、指令を出し異物をやっつける特殊部隊を作り出します。ちなみにここで指令を出されたB細胞は異物に対して矢を放ちますが、勢い余って矢を放ち過ぎた状態こそが、「アレルギー」反応です。

現場に活気をつける

現場のマクロファージとNK細胞を活性化すると言われているのが霊芝等キノコ類に多く含まれる多糖類「β-d-グルカン」です。例えるならば青島とすみれさんの心の支え、和久さん(いかりや長介)がβ-d-グルカンです。時として、司令官のT細胞(室井さん)までも影響を及ぼすことができます。ちなみに免疫療法で有名な「自己リンパ球免疫療法」とは自分のNK細胞を取り出し培養して量を増やし、また自分の血液中に戻す手法です。例えるならばパーマンのコピーロボット?でしょうか。(歳がばれる・・・・)

免疫細胞はどこにある?

免疫細胞は骨髄で作られますが、その約6割は腸に集中して存在しています。腸は最大の免疫器官であり、腸清ければ病なしと言われる所以です。食事療法で病気を治す「ゲルソン療法」も究極を言えばこの腸管免疫を活性化することです。

漢方では五臓六腑の関係性で「肺」と「大腸」は密接で、肺=アレルギー疾患・皮膚疾患・呼吸器疾患がある人は大腸を整えると良いことが経験的に分かっていました。先ほどT細胞(室井さん)に指令を出されたB細胞の暴走こそがアレルギー反応だとご説明しましたが、何らかの免疫異常(アレルギー・膠原病・悪性腫瘍)の方は免疫細胞が集中する腸を整えることが大切だということです。

分子量の大きいβ-d-グルカンは吸収されにくく、主にこの腸管免疫を刺激することで免疫力を高めると言われています。しかもここで刺激を与えることができるβ-d-グルカンは適度な大きさでカットされている必要があります。

β-d-グルカンを摂取するには

20代をピークに免疫力は年々低下し、40代ではピーク時の半分ほどになると言われる免疫力。「心食動休環(心=ストレスをためない、食=バランスのとれた食事、動=適度な運動、休=十分な休息、環=空気・水などの環境を整える)」の養生をすることはもちろん、積極的に免疫力を上げるものを摂取することをおすすめします。β-d-グルカンを含むものは多々ありますが、β-d-グルカンを摂るのに一番ネックになるのはその抽出。β-d-グルカンは120℃~160℃でしか抽出されないため、普通に水で抽出しようとしてもなかなか有効成分が得られません。多々出回っている商品が本当に有効成分を含んでいるかしっかり吟味して選んでください。


執筆者 福田 茜の画像

執筆者 福田 茜
九州大学薬学部卒 薬剤師・漢方みず堂漢方専門相談員
病院やメーカーを経て、株式会社漢方みず堂へ入社。
3児の母でもあり、妊娠・出産・子育てに関する漢方経験も多数あります。

“がん漢方診療 月200人達成” 2015/4/11読売新聞より

2015年4月18日

癌と漢方

“がん漢方診療 月200人達成” 2015/4/11読売新聞より

4/11読売新聞の記事より

県立がんセンター(横浜市旭区)の「漢方サポートセンター」と「がんワクチンセンター」が今月、開設1年を迎えた。漢方診療では、初年度の目標患者数「月200人」を達成し、今年度は300人を目指す。がんワクチンでは、神奈川発の開発にも取り組んでいる。

漢方サポートセンターは、がん治療の副作用によるしびれや痛みを和らげ、低下した免疫力の回復を助けるため、漢方薬を活用した診療を行っている。患者数は、開設した昨年4月は50人程度だったが、10月には月200人を突破した。今年度からは、患者を支える家族も健康管理面で支援していくほか、薬膳料理教室も始める予定という。~以下省略~

癌治療で良く使われる漢方

ここ数年、抗がん剤の副作用対策としての漢方の効果について科学的に検証した結果が次々に発表され、国内だけでなく海外からも注目を集めています。

現在臨床で良く使われている漢方をご紹介すると

全身倦怠感:補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯
食欲不振、上腹部膨満感:六君子湯
骨髄抑制、血小板減少:十全大補湯
黄疸、肝障害:茵蔯蒿湯
口内炎:半夏瀉心湯
便通異常:大建中湯
オキサリプラチンの神経毒性:牛車腎気丸
タキサン系の神経毒性、神経痛:芍薬甘草湯
イリノテカンの晩期下痢:半夏瀉心湯

(「EBMに基づく外科領域の漢方の使い方第2版」より抜粋)など他にも多数あります。

自分の体質に合ったものを飲む

現在の臨床では、主に副作用を軽減する目的で漢方が用いられています。抗がん剤治療をすすめていくと副作用のために、抗がん剤治療が継続できなくなることが多々あります。

オキサリプラチンは大腸がんの治療の代表的な抗がん剤ですが、特徴的な末梢神経障害(手・足指のしびれ感など)が高頻度で起こります。神経障害は、抗腫瘍効果が発現する6クール目近辺で顕著化することが多くせっかくのところで治療中止となる場合が少なくありません。この副作用軽減で注目されているのが「牛車腎気丸」です。牛車腎気丸は、下半身の冷え、むくみ、腰痛、尿量減少、口渇などがある高齢者に良く使う漢方です。確かに糖尿病の合併症、末梢神経障害にも良く使いますが、私としては他にもたくさん末梢神経障害に有効な漢方があり、自分の体質に合ったものを飲むべきだと思います。

癌治療における漢方薬の意義

癌治療で漢方薬を用いるのに、最も私が意義を感じるのは「免疫力を高める」ということです。

免疫力に関する情報はたくさんあるので、ここでは詳しく述べませんが、この免疫力の低下こそが癌に限らず全ての病気が起こる原因になっています。

漢方は体本来の免疫力=自然治癒力を高めてくれます。例えば風邪っぽい時に葛根湯を飲むと、じわっと発汗し、実際に熱も上がります。これは体温を上げることで白血球を活発にして、自分の免疫力を高めることで風邪をやっつけています。

 


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執筆者 福田 茜
九州大学薬学部卒 薬剤師・漢方みず堂漢方専門相談員
病院やメーカーを経て、株式会社漢方みず堂へ入社。
3児の母でもあり、妊娠・出産・子育てに関する漢方経験も多数あります。
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